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三流映画評論
『ヘヴン』『アバゥト・シュミット』
3班 福島昌山人

 去年(平成14年)は約3ヶ月入院していたので、そのあいだ映画が見られなかった。退院したら映画ばっかり見ようと決めて、いまはそうしている。1日に2本の映画をみることもある。しかし、映画館で、ずっと居眠りしていることもあるし、題名をきいただけでは、まったく記憶にない映画もある。買ってきたパンフレットを見ても思い出せない。

 そうして、云えることは、映画評論家のいうことは、まったくアテにならず、アカデミー賞なんかをもらった映画は見ないほうがいいということだけである。ええか悪いかは、自分だけが決める、アタリマエのことである。どんな退屈な映画でも『シカゴ』よりはマシだし、どんなオモシロクナイ映画でも『戦場のピアニスト』よりはガマンができるということだ。

 ところが、弥生座で見た『ヘヴン』はよかった。これなんか、まったく評判にならずというより、宣伝もしないのか観客は3人だけだった。はじめ、ぼくが行ったときは、ぼくひとりで「これは記録や、しかしチャンと上映してくれるのかなあ」と心配していると、あとでアベックが入ってきて、やっと3人になったのであった。どこの映画かというと、えーとですね、アメリカ・ドイツ・イギリス・フランス(の合作)と書いてある。そして、舞台はイタリアなのである。

 女教師のケイト・ブランシェットが高層ビルに爆弾をしかけて、罪のない4人の人たちを死なせてしまう。そこで、刑務官の若い男ジョバンニ・リビーニと知り合う。若いふたりの、まあいうたら逃避行(道行)の映画であるが、セリフは少なく、カメラはきれいで、昼寝なんかしているヒマはない。逃避行の途中で、関係のない田舎の結婚式のシーンが出てくるのだが、どんな映画でも冠婚葬祭の場面がはいると、ウンとよくなるのだ。ぼくの好きな『幻の光』でも、雪中の葬式のシーン(だれの葬礼かわからない)が延々とあったが、それが印象にのこっている。『ディア・ハンター』でも、ロシア系アメリカ人のナガーい結婚式のシーンが、忘れられない。いや、この『ヘヴン』はそんなことは抜きにしても、最上等の映画で、青年の父親が会いにきて「愛しているか」と確かめただけで、黙って去っていくところなんかが、毛唐にもいいところがあるなあと思わされた。ラストシーンは、二人の乗った小型ヘリコプターが、よく澄んだ青空に点より小さくなって、見えなくなってしまうのである。

 ジャック・ニコルソン主演の『アバゥト・シュミット』は66歳で保険会社を定年退職した男のハナシである。いままで、自分がやってきたことは、なんだったのかと思い、嫌いだった連れ合いには急死されるし、ひとり娘はヘンな男と結婚するという。淋しくって仕方がないが、ニコルソンは極端に押さえた表情でたんたんと演じている。

 娘の相手の母親になるのが、あの『ミザリー』の怖い女優キャシー・ベイツで、ニコルソンを入れた庭の風呂に、自分も入ってくるのである。キャシー・ベイツは1948年生まれだから55歳か、まあアメリカ人はすごいというか。しかし日本でも、『マルサの女』だったと思うけど、加藤冶子が全裸でシャワーを浴びる場面があった。このとき、加藤治子は70代だったと思う。決して日本も紅毛碧眼に負けてはいないのである。