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三流映画評論
『ニキフォル・知られざる天才画家の肖像』『ツォツィ』
3班 福島 昌山人先生

 いま『ツォツィ』のサウンドトラック聴きながら、この文章書いている。アフリカ音楽であり、当然のことながらリズムがいいので筆も弾むことであろう。映画でもジャズでも文学絵画なんでも芸術にかんしては、アメリカ白人のはダメである。見たらソン、聴いたらアカン、触ってもおもしろくない、食べてもまずい。ジャズのDVDはなかなかいいのがないが、たまに見つけても、せっかく黒人がいい演奏をやっているのに、途中でアホウな白人が出てきてながながと解説したりする。まったく迷惑至極、邪魔もののほかのなにものでもない。白人毛唐とくに英米人はイカンなあ。なんとかしてくれ。
  いぜんから書いているが、ハリウッドの映画はぜったい見てはいけない。いくらタダ券をもろたいうても、見たら時間のムダというより腹がたってくる。というわけで、こんかいもアメリカ映画みごとにはずしました、めでたいめでたい。

  まずは『ニキフォル』これはポーランド映画だからご安心あれ、「知られざる天才画家の肖像」という副題がついている。もちろんぼくも知らなかった。映画はこんな絵描きをたのしく紹介してくれているのである。ニキフォルというのはなんでも、いまやポーランドを代表する天才画家らしいが、言語障害があり文字の読み書きもできなかったらしい、しかしヒマがあると絵ばかり描いていて、ほかのことはなにもできず、とうぜんお金もなく、しかし自由奔放に生きたひとのようである。この貧相なおじいさん絵描きニキフォルに扮するのが、クリスティーナ・フェルドマンという女優さんである。あとでパンフレットみなかったら、女のひとが演じているとはとても思えない。そしてこのニキフォルの絵が素朴でなんの衒いもなく、天真爛漫しかも色彩センスがすばらしい。彼はポーランド南部の温泉保養地で生まれたがその出生記録も戸籍もないらしい、ただ路上で好きな絵を描き「自在に生きた」ほんとうの「自由人」で、希臘の犬儒派哲人ディオゲネスを想いだした。

  『ツォツィ』は南アフリカ、アパルトヘイト後の黒人社会を描いた映画、まずアフリカ音楽がすばらしく、でてくる俳優さんもとても演技とはおもえず、主役の不良少年ツォツィも、そして赤ちゃんを預かる女優さんもきれいで色っぽく、そのほかの俳優たちもじつに表情がいい。さいしょ地下鉄のシーンがでてくるので、これはニューヨークの話かなあと思ったら、掘っ立て小屋の並ぶ貧民窟が写り、あアフリカなのだ、現代の南アフリカなのだということがわかる。たぶんアパルルトヘイトのあと貧富の差がよけい激しくなり、電車のなかで殺される金持ちや高級車を盗まれるひともおなじアフリカ黒人というのが、なんとも悲しい。しかし、映画は暗くもなく陰湿にもならず、たまたま盗んだクルマに赤ん坊が置き忘れてあって、そこから徐々にかわっていくツォツィの顔の変化がみごとである。それでいて、ひとつもセンチメンタルにならず、道徳的説教的にもならず、ただたんたんと描かれていて、これがR−15指定いわゆる15歳未満入場できないという映倫の規定はまったくあきれかえる。さいしょの殺される場面がそれにひっかかるということらしいのだが、ほんのワンカットだけで血も見せないし、いやこどもにこそこういう「あたたかいすばらしい映画」は見せるべきであると憤慨しております。南アフリカ映画。